大道52/小説「新・人間革命」

【「聖教新聞」 2015年(平成27年) 4月11日(土)より転載】

 

【大道52】


 山本伸一は、東北女子部の大池憲枝に語っていった。

 「皆、地元に帰れば、厳しい状況のなかで頑張らなければならないことでしょう。周囲に学会員は少ないかもしれない。孤軍奮闘するしかなく、寂しい思いをしたり、挫けそうになったりすることもあるかもしれない。その時に、『青葉の誓い』を歌って、自らを鼓舞していってほしいんです。

 初代会長の牧口先生は、『羊千匹よりも獅子一匹』と言われている。一人立つ勇気の人が大事なんです。勇気を奮い起こせば、力が湧き、心に希望の太陽が昇る。

 『青葉の誓い』を、これからは、一人立つ誓いの歌にしていってください」

 「はい!先生。今日、山形の米沢では、『置賜ふるさと祭典』を行っております」

 大池が言うと、伸一は、大きく頷いた。

 「知っています。置賜の同志が、宗門の寺から苛められ、苦労に苦労を重ねていることも、全部、知っています」

 置賜は、山形県の南部に位置する、米沢市南陽市長井市などを擁する地域である。

 伸一は、言葉をついだ。

 「今日、私が、東北の歌として、『青葉の誓い』を作ったことも、祭典に出席している東北総合長の青田君を通して伝えてあります。置賜の同志は、どこまでも地域を大切にして、何があっても、粘り強く頑張りぬいてほしい。宗門の一部の僧が、学会にどんな罵詈雑言を浴びせようが、どちらが正義であるかは、既に明白なんです。

 正義というのは、日蓮大聖人の仰せ通りに広宣流布をすることです。現実に、その難事業を進め、戦っていることです。

 口先では、なんとでも言えます。二十年、三十年とたった時に、今、学会を中傷している僧が、どれだけ広宣流布を進めたかです。悪鬼入其身となった僧たちには、永遠に広宣流布はできません」

 正義か否かは、歴史が審判を下す。滔々たる広布の流れを開いた人こそが正義である。                     
                                    

■ 小説『新・人間革命
 【語句の解説】
◎悪鬼意入其身(あっきにゅうごしん)
 法華経勘持品第十三の文で「悪鬼其の身に入る」と読む。
仏道修行を妨げ、衆生を悩ます悪鬼が、人の身に入り、正法を護持する者をそしり、辱めること。
悪鬼とは、誤った宗教・思想、また人の苦悩の因となって、精神を乱す源をいう。


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